ある工場で、工場長が「KとNはミスが多くて困る」と話していました。
6月初旬のことそこで、検査記録を整理してみることにしました。
そうしてみると、Kのミスは意外に少ないのです。
たまたま4月に出したミスが工場長の印象に強く残っていたのでしょうか。
Nは、たしかにミスが多いようです。
Sだってミスが多く、これは気まぐれの性格なのかもしれません。
同じようにTだってMだって、ミスが気になります。
ただのカンでは、S、T、Mのミスを見逃すことになります。
それよりなによりKは、さほど悪くないのに、そんな思い込みで工場長に対応されたのでは、気分をわるくします。
やる気が殺がれます。
工場長は、あたら貴重な戦力をスポイルしかねないところでした。
そして、問題児を野放しにしていたというわけです。
それもこれもカンに頼っていたからです。
ちょっとデータを収集・整理して眺めてみるだけで、間違いが防げるのです。
この場合、できるだけデータを継続して取ってください。
4月のデータだけを見ると、たしかにKには問題があるように思えます。
Nのミスはさほど気になりません。
ところが、3か月にわたってデータを取ってみてやっと全員のクセらしいものがつかめてきます。
半年、1年と継続して取ると、おそらく、もっと的確に傾向がつかめます。
きて、自分のカンの不確かさを反省したこの工場長は、さらに突っ込んで、人別に不良内容をチェックすることにしました。
即これでわかったのは、たとえば、Nは寸法ミスが多いと岬いうことです。
それまで工場長は「Nは図面をよく見ない側で勝手に思い込んでしまう。
おっちょこちょいなヤツだ」と考えていたのですが、そうではなくて計測が不得意で、ノコギリの使い方がときどき不安定になる、と判明したのです。
図Sも、まったく同様だ。
じゃあ、NとSにはノギスの精度検査を徹底させ、その使い方も教育しよう、ということになりました。
Tは、どうも加工に集中力が足りないようだから、じゃあ、どうしようか。
どんな不良を引き起こしているか、その原因をつかむことができれば、こうして次にどのような手を打つか、たとえば工程名、加工月日、加工数量、加工者、そして不良が出たらその現象を記入する”備考”などを記入するのです。
記帳は、たいした仕事ではありません。
表の型式さえできていれば、ものの数分もかかりません。
作業が多く、人数も多い現場だったら、記帳専任というか不良係のような人間を1人おいても、十分におつりがきます。
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